診療支援
治療

風疹,先天性風疹症候群
rubella and congenital rubella syndrome
勝田友博
(聖マリアンナ医科大学小児科・講師)

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[感]5類 [学]風疹:2種(発疹が消失するまで)

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●病態

・風疹,先天性風疹症候群の原因となる風疹ウイルスは,トガウイルス科ルビウイルス属に分類されるRNAウイルスである.

A.風疹

・風疹の主な症状は,発熱,全身性の発疹症,リンパ節腫脹などである.発疹と同時期に出現する発熱は軽度であることが多く,発疹は顔面から始まり全身に拡大するが癒合傾向は乏しい.

・リンパ節腫脹は耳介後部や後頭部に認めることが多く,発熱や発疹に先行して認める.

・風疹は「3日はしか」とよばれることもあり,麻疹と比べると症状は軽度で短期間で自然回復することが多く,25~50%の患者は無症状である.一方でまれではあるが脳炎(1/6,000人),血小板減少(1/3,000人)などを合併することもある.

B.先天性風疹症候群

・妊娠中の女性が風疹に罹患した場合,胎児死亡のリスクが増加するだけでなく,胎児が眼(白内障,緑内障,網膜症,小眼球症など),心臓(動脈管開存症,肺動脈狭窄など),耳(感音性難聴)などに障害をきたす先天性風疹症候群を発症するリスクとなる.

・その頻度は妊娠早期ほど多く,妊娠12週までに感染すると85%,妊娠13~16週までにおいては50%,第2三半期までにおいては25%とされている.

●治療方針

 風疹に対する有効な抗ウイルス薬はなく,治療は対症療法のみである.また,一部の麻疹や水痘曝露患者に導入されることがある,緊急ワクチン接種や免疫グロブリン投与の適応は風疹にはないため,平時からのMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)による予防が非常に重要となる.

 具体的には,MRワクチンの定期接種を1歳以上2歳未満(第1期)と小学校入学の前年(第2期)の2回,確実

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