●病態
・グラム陰性小桿菌であるBartonella henselaeが原因の人獣共通感染症.ノミが媒介し,健常な猫,犬などのペットの血液に寄生するB.henselaeが受傷を契機にリンパ・血行性に感染し発症する.
・ひっかき傷,咬傷などの受傷後1~3週間で所属リンパ節の腫脹(上肢の傷の場合は主に腋窩,下肢の傷の場合は主に鼠径部)が出現する.
・猫,犬の眼脂や唾液を介した感染も証明されており,受傷は感染の成立に必須ではない.
・典型例ではリンパ節腫大(多くは有痛性)のみを呈し良好に経過するが,一部の症例では膿瘍化する.
・非典型例では,パリノー結膜腺症候群(耳前リンパ節の主張を伴う結膜炎)や視神経網膜炎を呈する.また,肝臓脾臓型では肝臓や脾臓に肉芽腫や膿瘍を形成し,不明熱の原因となる.急性脳症などの神経学的合併症を認めることもある.
・診断には血清抗体価が用いられることが多いが,血液や局所の検体を用い