治療のポイント
・「小児の咳嗽診療ガイドライン」「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017」が治療の参考となる.
・クループ(クループ症候群・急性喉頭蓋炎)の症状は突然,急速に出現し,特に急性喉頭蓋炎では重篤な経過をとりやすく,注意が必要である.
・クループ症候群は早期にステロイドの投与を行い,急性喉頭蓋炎はすみやかに入院加療を行う.
●病態
A.クループ症候群
・クループ症候群は急性閉塞性上気道疾患である.
・主にウイルス性の急性喉頭気管気管支炎(狭義のクループ,以下クループ)が最も高頻度であるが,細菌性(インフルエンザ菌b型など)やアレルギー性による場合もある.
・生後6か月~3歳くらいまでの乳幼児期に比較的多い.
・症状は,咳嗽・鼻水,微熱などの上気道炎(感冒)症状が先行し,1~3日後に上気道の浮腫状変化に伴う狭窄症状(犬吠様咳嗽,吸気性喘鳴,嗄声・無声,呼吸困難)が突然出現する.
・重症度は臨床症状で分類するModified Westley Croup Scoreを用いることが多い.
・喉頭声門下狭窄は,頸部X線写真正面像で気管透亮像の狭小化(steeple sign)が認められる.聴診上で吸気性喘鳴以外にrhonchi(ラ音)を聴取することがある.頸部での聴診も有用である.
・病状が進行すれば,陥没呼吸,チアノーゼ,呼吸音の減弱が認められる.
B.急性喉頭蓋炎
・急性喉頭蓋炎は,喉頭蓋および周辺の重症細菌感染症である.
・起因菌はインフルエンザ菌が最も多い.発熱,咽頭痛,嚥下痛や嚥下困難,流涎,顔色不良などが急激に進行する.
・上気道狭窄の進行に伴い多呼吸や吸気性喘鳴,呼吸困難や努力性呼吸を生じて下顎を前方に突出させ,頸部を過伸展した,上気道を意識的に伸展・拡張させようとする姿勢(sniffing position,三脚位)をとる.乳児は後弓反張様に頸部を後方に過伸展する姿勢をとることがある.
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