●病態
A.定義
・胸管を通過するリンパ液を乳びとよぶ.乳びは脂肪成分に富むため乳白色を呈する.種々の原因で胸腔内に乳びが漏出したものが乳び胸である.
B.頻度
・乳び胸は10,000出生に1人の割合でみられ,2,000出生に1人が入院となる.
・乳び胸は,胎児胸水のなかでは最も多い.
・横隔膜異常がなく,胎児水腫を伴わないことが定義とされているが,臨床的には胎児水腫を伴う乳び胸も多い.事実,重症例では胎児水腫に至る.
・胸水が増加して食道を圧迫し,羊水過多を合併すると予後は不良である.
C.原因
・原因には,①胸管への直接侵襲,例えば出生早期の手術(先天性心疾患,消化管奇形)の術後に生じる,②上大静脈内血栓または高い静脈圧によるもの,③先天性の特発性乳び胸などがある.
・特発性乳び胸は,リンパ管,特に第5胸椎付近を走行する胸管の解剖学的な異常や,先天的なリンパ系の瘻孔などの存在が考えられている.
・Turne