診療支援
治療

口内炎,鵞口瘡,舌の疾患
stomatitis,thrush,diseases of tongue
瀧谷公隆
(大阪医科大学医学教育センター・専門教授)

Ⅰ.口内炎

●病態

A.アフタ性口内炎

・円形あるいは楕円形の小潰瘍(直径数mm)で,周囲に炎症性の発赤と浮腫を伴う.単発または多発性であり,舌・口唇・頬粘膜・歯肉に好発する.

・原因として機械的刺激,化学的刺激,アレルギー,ストレス,体力低下,栄養障害などが考えられる.再発を繰り返すことがある.

B.ヘルペス口内炎

・単純ヘルペスウイルス(主に1型)による口内炎であり,歯肉・口唇・舌・頬粘膜に好発する.

・アフタ,小水疱および発赤・腫脹がみられ乳幼児期に発症する.歯肉腫脹,発熱を伴うことが多く,摂食不良による脱水に注意する.

C.その他のウイルス性口内炎

・手足口病およびヘルパンギーナは口腔内に水疱とアフタを生じる.いずれも発熱を伴うことがあるが,1週間程度で自然治癒する.

D.基礎疾患を有する口内炎

・尋常性天疱瘡,Behçet(ベーチェット)病,Crohn(クローン)病,全身性エリテマトーデス(SLE),扁平苔癬,性行為感染症(梅毒,HIV)などの疾患および抗がん薬の副作用として口内炎を認めることが多い.

●治療方針

A.アフタ性口内炎

 疼痛軽減および局所保護を主眼とした対症療法を行う.

Px処方例 下記のいずれかまたは併用する.

➊アフタゾロン口腔用軟膏 1日1~数回 塗布

➋アフタッチ口腔用貼付剤(25μg) 1回1錠 1日1~2回貼付

B.ヘルペス口内炎

 疼痛による摂食不良または全身状態不良の場合は,輸液および下記の治療を考慮する.

Px処方例 下記➊➋のいずれかまたは併用する.

➊ゾビラックス顆粒 1回20mg/kg(成分量として)(成人量200mg) 1日4回

➋ゾビラックス軟膏(5%) 1日数回 患部に塗布

 強い疼痛の場合は➌を用いる.

➌キシロカインゼリー 食前塗布

 全身状態が不良の場合は輸液を行い,➍を用いる.

➍ゾビラックス注 1回5mg/kg+生理食塩液200mL 1日3回 点

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