診療支援
治療

先天性食道狭窄症,食道アカラシア
congenital esophageal stenosis and esophageal achalasia
川原央好
(浜松医科大学小児外科学・特任教授)

●病態

・先天性食道狭窄症は,先天的な食道壁の内因性異常のために食物の通過障害をきたす疾患で,25,000人出生に1人と先天性食道閉鎖症の約1/10の頻度である.

・生直後に哺乳困難や喘鳴で発症することもあるが,離乳食が開始される頃に嚥下障害や発育障害を主訴として発症することが多い.嚥下障害の原因として食道内腔径の減少と同時に,病変部における抑制系神経伝達物質の減少が指摘されている.

・本症単独発生以外に,先天性食道閉鎖症などの先天性消化管奇形,心疾患,Down(ダウン)症に合併することもある.

・食道狭窄の病因により次の3種類に分類されている.

 a)膜様狭窄(web or diaphragm)

 b)筋性線維性肥厚型狭窄(fibromuscular stenosis)

 c)気管原基迷入型狭窄(tracheobronchial remnants)

・頻度は膜様狭窄が最も低く,筋線維肥厚型と気管原基迷入型がほぼ同程度とされているが,先天性食道閉鎖症に合併した症例では気管原基迷入型の報告が多い.

・小児の食道アカラシアは人口10万人あたり0.5~1人に発生し,発生に性差はなく,小児の好発年齢はない.多くは特発性で食べ物のつかえ感を訴えたり食事中に嘔吐したりするようになるが,吐物は食物の形態を残し臭気も少ない.

・消化器症状のみではなく,拡張した食道による気管圧迫や食道内貯留内容の誤嚥で,夜間の咳嗽発作や反復性呼吸器感染症などの呼吸器症状を主訴とする症例もみられる.年長児では前胸部不快感や胸痛を訴えることもある.

・家族性,Down症合併例,Triple A症候群(Allgrove症候群)とよばれる食道アカラシア(esophageal achalasia),副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)不応症(adrenal insufficiency),無涙症(alacrima)の合併例や,それに自律神経異常

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