診療支援
治療

吸収不全症候群
malabsorption syndrome
大塚宜一
(順天堂大学小児科学・客員准教授)

●病態

・消化に必要な消化酵素の欠損症など,消化・吸収ができずに下痢などが遷延するものを吸収不全症候群とよぶ.

・消化酵素欠損症や微絨毛封入体病など先天性のもののほか,乳児下痢症が遷延し小腸粘膜障害をきたした結果生じる腸炎後症候群などの2次的なものがある.

・体重増加不良など慢性の症状を認める場合は,吸収不良症候群も念頭におき炭水化物,脂肪,蛋白質の消化・吸収能を確認する.

●治療方針

 根本的な治療は病気により異なるが,まず脱水の治療を進めながら栄養管理を進める.経腸的に栄養を摂取することが大切で,それぞれの栄養素を消化しやすく調節した成分栄養剤などを用いる.ただし経腸摂取が不可能な場合は,中心静脈栄養(TPN)を用いる必要がある.

 消化酵素の欠損症や微絨毛封入体病など先天的なものでは,生後数日以内に水様性の下痢を呈する.吸収不全症候群の最も重要な症状は脱水症のほか,栄養障害,成長・発達障害などで

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?