●病態
・4,000~5,000出生に1人の割合で発症し,男児に多い(男女比3:2).
・本来の肛門の位置に肛門の孔がないもの(鎖肛)は,肛門の位置や形状に異常がある直腸肛門奇形という概念に含まれる.直腸肛門が盲端で終わり瘻孔を伴わないものと,直腸肛門盲端が膀胱,尿道,腟あるいは外表(多くは会陰皮膚)と瘻孔を有するものがある.
・胎生4~7週に総排泄腔の分離過程における異常により,さまざまな直腸肛門奇形が生じる.尿直腸中隔の発生異常から,直腸肛門と尿・生殖器間にさまざまな瘻孔が生じる.また尿道,腟,肛門が共通管を形成し,外陰部の皮膚1か所に開口する総排泄腔遺残などの,複雑な直腸肛門泌尿生殖器異常が発生する.
●治療方針
A.診断
出生後に肛門会陰部所見の観察により気づかれることが多い.正常な肛門が欠如している場合は明らかであるが,肛門開口部の位置異常や狭窄の存在から直腸肛門奇形を疑う.診断には出生時