●病態
・小児の膵仮性嚢胞は外傷後に発生することが多い.交通外傷時のシートベルト損傷や自転車のハンドル外傷による上腹部打撲により椎体前面の正中部に損傷をきたし,膵損傷部から膵液が漏れることにより形成される.
●治療方針
A.検査
超音波検査で膵周囲の低エコー域の有無,腹部造影CT検査で膵周囲の低吸収域の有無,特に膵臓の正中部においては頭側端から尾側端まで形態異常がないかを確認する.血液尿生化学検査では血液中のアミラーゼ,リパーゼの上昇の有無をみる.まれに血液検査では異常がなくとも尿中でアミラーゼの上昇をみることがあるので,検査が可能であれば尿中アミラーゼをみておくとよい.
B.治療
膵損傷・膵仮性嚢胞の診断がつけば初期治療は胃内容の吸引,絶食・輸液,抗菌薬投与,蛋白分解酵素阻害薬の投与を行う.多くの症例は保存的治療で軽快するが,画像で主膵管の損傷が明らかな場合,3~4日加療しても腹痛の改善が乏しい