●病態
・腹腔内のリンパ液の流れは,腸管内から吸収された脂肪を含む乳び(リンパ液)が腸間膜動脈根部に収束し,乳び槽に流入後,胸管へと流出する.乳びを含んだ胸管が腹腔内で破綻し流出した場合,乳び腹水となる.
・乳び腹水の原因として,①先天的リンパ管異常,②腸回転異常や絞扼性イレウスなどによるリンパ管の閉塞,③術後の外傷性などがあげられる.
●治療方針
A.保存的治療
乳びの流出量を減じ,損傷部位の閉鎖を期待し,さらにリンパ管の側副路の形成を期待するものである.中鎖脂肪酸を用いたMCTミルクや,脂肪含有量が少ない消化態栄養剤(エレンタールP)をまず用いて食事療法を行うことが多い.これらが無効な場合,絶食にして中心静脈栄養法(TPN)を行う.
Px処方例
オクトレオチド酢酸塩薬皮下注 0.3~0.5μg/kg/時 皮下注(ただし小児に対する投与量,安全性は確立していないので,使用前にインフォームド・コンセン