診療支援
治療

先天性心疾患の経カテーテル治療
catheter intervention for congenital heart disease
星野健司
(埼玉県立小児医療センター循環器科・部長)

 先天性心疾患のカテーテル治療(CI:catheter intervention)は①心房中隔裂開術(BAS:balloon atrial septostomy),②血管形成術,③弁形成術,④コイル塞栓術,⑤ステント留置術,⑥閉鎖栓留置術,⑦カテーテルアブレーションに分類される.

A.心房中隔裂開術(BAS)

 BASには古典的なRashkind法(pullback)と,血管あるいは弁形成用カテーテルで欠損孔を拡大するstatic BASがある.適応は,①動静脈血のmixingが必要な場合(完全大血管転換など),②循環維持・うっ血改善のために心房間交通が必要な場合(左心低形成症候群,三尖弁閉鎖など)である.

B.血管形成術

 対象は①術後の瘢痕狭窄,②血管の先天的狭窄,③屈曲に伴う狭窄,④周囲組織の圧迫による狭窄.適応は,二心室修復の動脈では収縮期圧較差20mmHg以上,右心バイバス・静脈系では平均圧の圧較差5mmHg以上が目安.①はCIが有効な場合が多く,③④はCIでは効果が乏しい場合がある.

C.弁形成術

 肺動脈弁狭窄・大動脈弁狭窄(AS)が対象.治療適応は圧較差40~50mmHgであるが,新生児の重症ASでは圧較差が生じない場合がある.ASに対するCIは,外科手術へのbridgingであることが多い.

D.コイル塞栓術

 ①動脈管開存(PDA:patent ductus arterious),②側副血管,③動静脈瘻,④術後の人工血管が対象である.適応は血行動態に影響を及ぼす場合である.①は感染性心内膜炎予防の観点から,肺動脈弁に達する有意なシャントがあれば適応とする.

E.ステント留置術

 対象は血管形成術と同様である.成人血管径まで拡大できるステントが留置できない場合は,外科手術を含め他の治療が困難な場合に適応となる.先天性心疾患に対して薬機法上承認されたステントはない.

F.閉鎖栓留

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