●病態
・通常,近位胸部大動脈の狭窄を大動脈縮窄とよぶ.多くは左鎖骨下動脈起始部遠位で,動脈管近位の大動脈峡部が狭くなる.
・動脈管が閉じてくることで病態が顕在化する.すなわち上行・弓部大動脈の高血圧と左室に対する圧負荷,下行大動脈以下の虚血状態であり,重度の縮窄ではductal shockをきたす.
・病因は通常明らかではないが,遺伝要因〔Turner(ターナー)症候群など〕を認めるものもある.
・新生児期に発症し,心室中隔欠損や大血管転位を合併する複雑型と,心雑音や高血圧で見つかり合併心奇形のない単純型がある.
●治療方針
縮窄部収縮期圧較差≧20mmHgが治療適応であり,手術あるいはカテーテル治療により圧較差<20mmHgになることを目標とする.しかし心機能低下や側副血管の発達により,圧較差<20mmHgの場合は治療適応となる.
A.複雑型と重度の縮窄の単純型
プロスタグランジンにより動脈管開存