診療支援
治療

大動脈縮窄
coarctation of the aorta
須田憲治
(久留米大学小児科学・教授)

●病態

・通常,近位胸部大動脈の狭窄を大動脈縮窄とよぶ.多くは左鎖骨下動脈起始部遠位で,動脈管近位の大動脈峡部が狭くなる.

・動脈管が閉じてくることで病態が顕在化する.すなわち上行・弓部大動脈の高血圧と左室に対する圧負荷,下行大動脈以下の虚血状態であり,重度の縮窄ではductal shockをきたす.

・病因は通常明らかではないが,遺伝要因〔Turner(ターナー)症候群など〕を認めるものもある.

・新生児期に発症し,心室中隔欠損や大血管転位を合併する複雑型と,心雑音や高血圧で見つかり合併心奇形のない単純型がある.

●治療方針

 縮窄部収縮期圧較差≧20mmHgが治療適応であり,手術あるいはカテーテル治療により圧較差<20mmHgになることを目標とする.しかし心機能低下や側副血管の発達により,圧較差<20mmHgの場合は治療適応となる.

A.複雑型と重度の縮窄の単純型

 プロスタグランジンにより動脈管開存を維持しながら生後早期に外科治療を行う.複雑型では,初回手術として大動脈形成術と肺動脈絞扼術を行い,成長を待って心内修復術を行う二期的修復術と,初回からすべてを修復する一期的修復術がある.

B.動脈管閉鎖に耐えた単純型

 治療法として外科治療とカテーテル治療がある.カテーテル治療としては,成人の体格に成長しても使えるステントが留置できる場合は初回からステントを留置するが,それができない場合はバルーンによる拡大術を行う.再発例は基本的にカテーテル治療を行う.

■専門医へのコンサルト

・小児の治療可能な高血圧症の原因として重要であり,原因の明らかでない高血圧症では必ず上下肢の血圧を測定し,疑わしい場合は小児循環器専門医のチェックを受ける.



参考文献

1)2007-2008年度合同研究班:大動脈縮窄・大動脈弓離断複合.循環器病の診断と治療に関するガイドライン.Circulation Journal 73(S

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