治療のポイント
・内臓錯位症候群の多くは胎児診断が可能である.診断がつき次第,母体を専門施設に紹介して出生後の迅速な外科治療に備えることが望ましい.
・単心室症例では,Glenn(グレン)およびFontan(フォンタン)手術に向けて,肺血流量を適切に調整するとともに,肺動脈に狭窄や変形を起こさないことが重要である.
・段階的外科治療により多くの単心室症例が救命可能となったが,遠隔期にFontan術後症候群とよばれる全身合併症が発症し,予後は良好とはいえない.
●病態
・胎生初期の原始結節において体の左右軸が決定する過程,もしくはその情報が伝達する過程に異常が生じた結果,胸腹部臓器の左右がランダム化する疾患群.
・両側が右側の構造となる右側相同(無脾),両側が左側の構造となる左側相同(多脾)と,それらが混合した非定位が存在する.
・すべてを合わせると,先天性心疾患の約1~2%を占める.