治療のポイント
・川崎病は現在年間約1万5千人以上の罹患者があり,その2~3%に後遺症として冠動脈瘤が合併する.
・冠動脈瘤は,合併後1~3か月の最大内径で予後がほぼ決まり,内径8mm以上のいわゆる巨大冠動脈瘤は高率に血栓閉塞による心筋梗塞を発症するので,十分な抗凝固療法が不可欠である.
・内径8mm未満であっても,6mm以上の場合には抗凝固療法を行うべきとする意見が多い.
・内径5mm未満では長期的には退縮し正常化することが多く,抗血小板薬で管理するが,時に狭窄が進行して心筋虚血を起こす例もあるので,核医学検査,MRIによる心筋灌流の評価も必要により行って,慎重に管理する.
●病態
・川崎病は乳幼児に好発する全身性の血管炎であり,特有の急性期の主要症状を呈して発症し,多くの場合,急性期症状は免疫グロブリン大量静注療法によって数日で改善する.しかし適切な治療後も,一部の例では冠動脈瘤や拡大性病変を合併