●病態
・末梢血好中球絶対数が1,500/μL以下に減少した状態と定義されている.特に500/μL以下では易感染性を呈し,重症感染症の危険性が高くなる.
・小児期の好中球減少症の病因は多岐にわたるが,以下の3つに大別される.
a)外因性障害:感染症(ウイルス性,細菌性,真菌性),免疫性好中球減少症(自己免疫性,同種免疫性),薬剤性好中球減少症,脾機能亢進症,ビタミンB12・葉酸欠乏など
b)内因性障害:重症先天性好中球減少症,周期性好中球減少症など
c)好中球減少を合併する症候群:Shwachman-Diamond(シュワッハマン・ダイアモンド)症候群,WHIM症候群(myelokathexis),糖原病Ib型,高IgM症候群,Barth症候群など
・感染性(特にウイルス性),薬剤性,免疫性の頻度が高い.感染性および薬剤性のほとんどは一過性で,免疫性好中球減少症も乳幼児期発症の場合は年齢とともに自然軽快することが知られており,多くが良好な経過をたどる.
●治療方針
好中球減少期における感染症罹患の監視・予防,発熱性好中球減少に対する治療,原疾患に対する治療からなる.あらゆる病因からなる好中球減少において,手洗い,うがい,口腔内ケアなどの感染予防対策は重要である.
A.発熱性好中球減少の初期治療
特に500/μL以下での38.0℃以上の発熱では,敗血症など重症感染症への移行の可能性を念頭において呼吸・循環などの全身状態を十分に確認しながら,血液培養を含む各種検査を行ったうえで,初期治療として広域スペクトル抗菌薬による経験的治療を開始する.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.過去に耐性菌が検出されているケースでは,感受性のある薬剤のなかから適宜選択する.
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