●病態
・胎児性神経網膜由来の悪性腫瘍である.13番染色体の長腕のバンド14(13q14)に存在する網膜芽細胞腫遺伝子(RB1遺伝子)の異常により生じる.
・RB1遺伝子は,がん抑制遺伝子であり細胞周期の制御など細胞の分裂増殖に重要な役割を担う.2対の遺伝子の双方に異常が起こり,その機能が欠失して発症する(Knudsonの2ヒット説).
・遺伝性例では,RB1遺伝子異常が受精時に胚細胞レベルで起こり(生殖細胞系列変異),両眼性が多く,全身の細胞に遺伝子異常をもち,二次がんを発症するリスクが高い.
・非遺伝性例では,受精後に体細胞レベルで遺伝子異常を起こし(体細胞変異),片眼性が多く,二次がん発症は一般人と変わりない.
A.疫学
・小児がんの2.5~4%を占め,15,000~30,000出生に1人の頻度で発症し,5歳までに95%が診断される.
B.症状
・腫瘍が小さいうちは無症状で,腫瘍がある程度大きくなっ