A.適応疾患
1.血液悪性疾患
小児血液悪性疾患に対する造血幹細胞移植の適応は急性リンパ性白血病,急性骨髄性白血病とも遺伝子変異や染色体異常,初期治療反応性,微小残存病変が予後因子であり,これらによるリスク分類と病期を考慮して定められる.さらに小児においては原疾患治癒と同時に,移植後のQOLを考慮して適応を考えなければならない.
a.急性リンパ性白血病 初回寛解期には,超高リスクのみ同種造血幹細胞移植が適応である.再発後はT細胞性では髄外単独再発以外は全例移植適応である.B細胞性では再発時期および部位によって異なる(表1図).
b.急性・慢性骨髄性白血病 初回移植は高リスク群のみが標準治療とされている.第二寛解期以降は移植が標準治療である.このほか慢性骨髄性白血病では,進行期のみ適応である.
2.再生不良性貧血
重症以上ではHLA適合血縁骨髄移植が標準治療である.HLA適合血縁ドナーがおらず免疫抑制治療不応例は,HLA適合非血縁ドナーからの移植が標準治療である.中等症に対しては免疫抑制治療法不応の場合に考慮される.
3.原発性免疫不全症
疾患によって病態が異なり治療も異なるが,重症の免疫不全状態時は造血幹細胞移植が適応である.移植前より,感染症や合併症の治療および予防を十分に行う必要がある.
4.固形腫瘍
大量化学療法による造血機能不全救済のために造血幹細胞移植が行われる.神経芽腫のみ自家造血幹細胞移植が標準治療とされる.
5.その他
血球貪食性リンパ組織球症,ランゲルハンス細胞組織球症,慢性活動性EBウイルス感染症などの重症例では適応である.
B.移植前処置
骨髄の造血能への影響から,骨髄破壊的,強度減弱,骨髄非破壊的の3つに分類される.骨髄破壊的前処置では5グレイ以上の全身放射線照射が使われ,難治性白血病に対して用いられる.強度減弱前処置や骨髄非破壊的前処置は,再生不良性貧血や先天性免