診療支援
治療

小児血液・腫瘍性疾患とインフォームド・コンセント
informed consent in pediatric hemato-oncological diseases
川口浩史
(広島大学小児科学・准教授)

A.概念

 インフォームド・コンセント(説明と同意)とは,患者・家族が医師などから病気の内容,医療行為などについて十分な説明を受け,理解・同意したうえで治療を受けるというものである.1997年に改正された医師法では「医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療の担い手は,医療を提供するにあたり適切な説明を行い,医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と示されている.

 小児血液・腫瘍性疾患では治療が長期にわたり,副作用・合併症も多く,予後不良のこともあるため,インフォームド・コンセントはきわめて重要である.

 また,患児自身に対しても病気の説明・医療行為について説明を行い,同意を得ることも必要である(インフォームド・アセント).特に臨床研究においては実施が求められている.

B.インフォームド・コンセントの実際

 小児では,初めに両親または親権者に対して行われることが多いが,患児への説明は児の年齢や全身状態,両親の希望などにより,どのタイミングで行うかを決める(告知についての詳細は「小児血液・腫瘍性疾患患児への告知とエンドオブライフケア」).

 落ち着いた雰囲気で,プライバシーが十分保たれる部屋で行う.原則として担当医(主治医)が患児・家族に対して行う.複数の医師,看護師,心理士などの同席が望まれる.説明事項としては,医療行為の必要性(病名,病状),内容,期間,危険性,副作用,予想される結果,代替可能な医療行為の有無と内容,これらを実施しなかった場合に予測される結果,セカンドオピニオンなどについて説明する.

 当院で使用している説明文書における説明事項を表1に示す.平易な表現,理解を促す図・説明文書などを用いるとともに,説明内容の理解度について注意を払う必要がある.同意するかどうかの判断は自由意思で決めてよいことを説明する.説明文書には説明医師,同席医療者が署名を行い,十分に

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?