●病態
・尿路結石症の診断には,①尿路結石の確定診断,②尿路結石により引き起こされた合併症の診断,③尿路結石の発症原因(リスク)の検索があげられる.
A.病因として
・慢性下痢が生じる消化器疾患〔潰瘍性大腸炎,Crohn(クローン)病,腸切除,過敏性大腸症候群など〕は,高シュウ酸尿を合併.
・糖尿病:シュウ酸結石と尿酸結石を合併.
・内分泌疾患〔Cushing(クッシング)症候群,副甲状腺機能亢進症〕に高カルシウム尿が合併.
・遺伝性結石の原因であるシスチン尿症は,シスチン結石を合併.
・腎尿細管性アシドーシスは,高カルシウム(Ca)尿や低クエン酸尿を合併する.
・長期臥床,骨折,骨粗鬆症には抗Ca尿や低クエン酸尿を合併する.
・ほかには,尿路形態異常(海綿腎,馬蹄腎,水腎症)や尿路変更患者には,再発を効率に認める結石の病因となりうる.
・薬剤としては,ステロイド,フロセミド,ビタミンD剤,カルシウム剤は高Ca尿症の原因となる.アセタゾラミド,サイアザイド系利尿薬は低クエン酸尿の原因となる.
B.症状
・主に腹痛,腰背部痛である.通常片側の痛みであり,腎叩打痛を特徴とする.尿潜血,血尿を伴う場合が多い.
C.鑑別疾患として
a)消化器系:急性虫垂炎,急性胆嚢炎,胆石症,急性膵炎,急性胃腸炎,イレウス,感染性腸炎,消化管穿孔,腸捻転,腸重積,胃十二指腸潰瘍,大腸憩室炎,虚血性腸炎,嵌頓ヘルニア,過敏性大腸炎
b)循環器系:心筋梗塞,心筋炎,大動脈瘤破裂
c)産婦人科系:子宮外妊娠,卵巣茎捻転,付属器炎,子宮内膜症
d)泌尿器科系:精巣捻転
D.問診
a)持続時間と頻度
b)家族歴:遺伝性結石の確認
c)既往症:上記結石の起点となりうる疾患の確認.さらには,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を投与するにあたり,アスピリン喘息や消化性潰瘍の有無も確認が望ましい
d)内服薬:上記結石の起点となりうる薬剤の