●病態
・本来,低形成腎は腎臓の大きさが正常値を下回るマクロの形態学的異常を意味し,異形成腎は腎臓の大きさにかかわらず,病理学的に腎臓の構造異常を呈するミクロの形態学的異常を意味する.ただし,異形成腎のほとんどが多嚢胞性異形成腎を呈し,尿路の閉塞による尿貯留を伴う嚢胞形成を認める.
・近年,これらの腎の先天性の形態学的異常および腎尿路異常を包括して先天性腎尿路異常(CAKUT:congenital anomalies of the kidney and urinary tract)という病名が世界中で一般的に使用されるようになっている.
・例えばCAKUT発症原因として最も頻度の高いHNF1B遺伝子異常においては,低形成腎,異形成腎,多嚢胞性異形成腎などさまざまな形態異常を呈する.その他の遺伝子でも低形成腎または異形成腎を呈する場合が存在し,低形成腎と異形成腎は,さまざまな同一の発症要因による表現型の違いであることが示唆される.
・近年,早産低出生体重児において,成長とともに慢性腎臓病(CKD)を発症することがあることが知られており,その場合,腎組織学的には糸球体数が少なく疎で,1つの糸球体は著明な肥大を認める寡巨大糸球体症(oligomeganephronia)を呈することが知られている.本病態も低形成腎に分類される.
・出生時に多嚢胞性異形成腎を呈する場合は片側性に認めることが多く,すでに無機能腎となっている場合がほとんどで,その場合は自然退縮し消失する.一方,健側腎は代償性肥大を認める.
・低形成・異形成腎は,小児の末期腎不全の主要な原因疾患である.発症要因としては遺伝子異常,環境因子,母体の薬物摂取(ACE阻害薬など)などが考えられる.
・難聴や眼症状,その他の身体の異常,発達障害など,腎外症状を伴う場合(Syndromic CAKUT)においては,遺伝子・染色体の異常が同定され
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