診療支援
治療

月経異常
menstrual abnormality
金崎春彦
(島根大学産科婦人科・准教授)

治療のポイント

・16歳になっても初経がなければ,初経遅延として検査を考慮する必要がある.

・初経発来後の数年間は比較的高い頻度で無排卵性月経による月経周期異常がみられるので,深刻に考える必要はなく治療の必要もない.

・経血量(月経量)の異常には,内性器の器質的な異常を伴う場合もある.

●病態

・月経は約1か月の間隔(25~38日)で自発的に起こり,限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血である.

・月経周期の異常:無月経(そもそも月経が発来しない),頻発月経(24日以内),稀発月経(39日以上3か月未満).そのうち無月経には満18歳を迎えても初経の起こらない原発性無月経と,これまであった月経が3か月以上停止した続発性無月経がある.

・月経周期異常は視床下部-下垂体-卵巣系(HPG axis)の機能異常に起因することが多いが,原発性無月経の場合は染色体異常〔Turner(ターナー)症候群など〕やアンドロゲン不応症,性器の解剖学的異常など特有の疾患が存在するので注意を要する.続発性無月経の原因は多岐にわたるが,間脳・視床下部障害による排卵障害に起因するものが多く,体重減少に伴う無月経やストレス性,心因性,過度な運動に伴う無月経などがある.

・月経期間の異常:過短月経(2日以内),過長月経(8日以上).

・出血量の異常:過少月経(月経量が異常に少ない),過多月経(月経量が異常に多い)

・月経期間,出血量の異常を認める場合,器質的な異常の有無を精査する必要がある.

 a)過短月経・過少月経(子宮内癒着,子宮発育遅延)

 b)過長月経・過多月経(子宮筋腫,子宮内膜ポリープ,子宮内膜増殖症など)

●治療方針

 14歳までに95%以上初経があるといわれており,15歳になっても初経がなければ月経異常として精査を考慮する必要がある(遅発初経).初経発来後の数年間はHPG axisの未熟性により比較的高い頻度

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?