治療のポイント
・てんかん症候群の正確な診断が治療方針決定のために最も重要である.
・小児てんかんは良性経過をたどる病型と,きわめて難治な病型の両極端に分かれる.
・てんかん症候群に応じて一定の治療方針が定められる病型と,病状に応じた治療方針決定が必要な病型がある.
・難治てんかん症候群では早期に専門医へのコンサルトが望ましい.
●病態
・てんかん症候群とは,各種てんかんのなかでも臨床症状と脳波の両面からみた「脳波・臨床症候群(electroclinical syndrome)」と位置付けられる.
・てんかん症候群は全体として明確な特徴をもつ臨床疾患であり,好発年齢,発作型,特異的脳波パターンなどで総合診断する.
・てんかん症候群の診断は,治療・管理方針決定や予後予測において重要である.
・てんかん症候群のなかでもてんかん性脳症は,てんかん性活動そのものが基礎疾患のみで予想されるよりも重症な認知・行動の障害を惹起し,しかもこれらの障害が経時的に悪化するものである.
・「てんかん診療ガイドライン2018」がある.
●治療方針
A.自然寛解する焦点てんかん
特徴的発症年齢を示し,いずれも思春期に自然寛解するため,発作回数が少なければ投薬しないで観察することができる.睡眠不足など睡眠習慣の乱れは発作を惹起するため避けるように指導する.
1.中心側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん
a.臨床的特徴 幼児期後半から学童期にかけて短い顔面けいれんや全身けいれんを睡眠中に認める.発達正常であるが一部に行動異常の合併がある.睡眠時脳波のローランド(中心・側頭部)棘波が特徴的である.
b.治療と予後 思春期には自然に発作も脳波異常も消失する.
2.Panayiotopoulos(パナイオトポラス)症候群
a.臨床的特徴 幼児期に睡眠中の嘔吐など自律神経症状や意識障害を示す発作を起こし,てんかん重積状態に発展しやすい.脳障害を認
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