●病態
・遺伝性運動・感覚ニューロパチーは,四肢遠位筋優位の筋力低下,感覚障害,筋萎縮,凹足などの足の変形,自律神経障害などを特徴とする.
・最も頻度の高いCharcot-Marie-Tooth(シャルコー・マリー・トゥース)病(CMT)は,80種類以上の原因遺伝子が同定されている.同一遺伝子であっても異なる臨床型を示す症例や,視力障害,中枢神経症状,糖尿病,脂質代謝異常症の合併例も報告されている.
A.CMTの臨床診断
・下記の1.2.を満たすものをProbable,1.2.3.を満たすものをDefiniteとする.
1.臨床症状
〔2項目以上〕
a)下肢優位の四肢遠位部の筋力低下,筋萎縮
b)感覚障害
c)自律神経障害,声帯麻痺,視力障害,錐体路障害
d)家族歴
2.電気生理学的検査
〔2項目以上〕
a)脱髄型(CMT1/CMT4):正中神経運動伝導速度38m/s以下,M波の振幅波正常か軽度低下
b)軸索型(CMT2):正中神経運動神経伝導速度は正常か軽度低下,M波の振幅低下あり
c)正中神経以外の神経伝導検査で,軸索障害または脱髄性障害
3.CMTに特有の遺伝子異常がある
・遺伝子検査には遺伝カウンセリングを包括する.脱髄型CMT1では,末梢性ミエリン蛋白22遺伝子PMP22の重複が最も多く,FISH法検査で健康保険が適用されている.ミトコンドリアの融合に関連するMFN2(Mitofusion2)の遺伝子変異が報告されている軸索型CMT2やPMP22重複/欠失が陰性の脱髄型では,次世代シークエンサーを用いた解析が必要となる.
●治療方針
小児慢性特定疾病,国の指定難病に指定されており,医療費助成制度の対象疾患である.有効な治療法はなく,理学療法,装具処方,補助ロボットスーツHALを用いたリハビリテーション,関節拘縮に対する手術療法,神経障害性疼痛,足の変形による痛みに対する薬物療法を行
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