診療支援
治療

脊髄性筋萎縮症
spinal muscular atrophy(SMA)
石川悠加
(北海道医療センター神経筋/成育センター・部長)

●病態

・常染色体5番にあるsurvival motor neuron 1(SMN1)遺伝子の欠失による神経・筋疾患である.

・発症年齢が低いほど重症である.

 a)Ⅰ型(重症型):6か月までに発症し坐位不能

 b)Ⅱ型(中間型):7~18か月に発症し立位不能

 c)Ⅲ型(軽症型):18か月以降に発症し歩行獲得

・全身の筋力低下(近位筋優位)と関節拘縮予防に伴う運動機能低下の進行は緩やかである.

・呼吸機能低下(睡眠呼吸障害,咳機能低下)に伴い,上気道炎や誤嚥をきっかけに肺炎,無気肺,急性呼吸不全増悪をきたす.Ⅰ型の呼吸管理をしない生命予後は2歳である.

・摂食嚥下機能も低下し,低栄養や脱水になりやすい.

・運動量低下や食物繊維不足も加わり,慢性便秘をきたしやすい.

●治療方針

 早期に市販の病態修飾薬と,適切な支持療法を組み合わせる.ただし患者と家族の自律はガイドラインより優先する.治療の目的はQOLを改善し

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