診療支援
治療

脊髄小脳変性症
spinocerebellar degeneration
小坂 仁
(自治医科大学小児科学・教授)

●病態

・小脳・脊髄小脳路および知覚路を主とする進行性神経細胞脱落とグリオーシスを特徴とし,小脳,脊髄,末梢性の知覚障害をきたす神経変性疾患の総称であり,小児期発症するものの多くは遺伝性である(常染色体優性遺伝,劣性遺伝,X連鎖性遺伝,ミトコンドリア遺伝形式).

・次のような分子病態が考えられている.

 a)転写調節異常:CAGの繰り返し配列(ポリグルタミン)の異常伸長が原因となりクロマチン構造と相互作用することにより,転写の活性化や抑制に影響を与える

 b)カルシウムの代謝障害:カルシウムの細胞内量上昇がミトコンドリア呼吸鎖や小胞体ストレス応答に影響を与える

 c)蛋白凝集:ポリグルタミン鎖は凝集しやすい性質をもち,細胞機能障害を起こす

●治療方針

 TRH(甲状腺刺激ホルモン)に運動失調改善作用が認められるため,下記の治療が考慮される.

A.運動失調

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

➊ヒルトニン

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