診療支援
治療

ジストニア
dystonia
星野恭子
(昌仁醫修会瀬川記念小児神経学クリニック・理事長(東京))

 ジストニアは原因により治療が異なるため,診断が重要となる.

●病態

・一次性ジストニア:遺伝性ジストニア,代謝疾患,変性疾患など.

・二次性ジストニア:周産期障害,感染性(脳炎脳症後遺症),外傷,脳腫瘍,脳血管障害など広範囲の中枢神経障害による.障害の分布,重症度などさまざま.

・急性発症のジストニア:ジストニア重複状態,薬剤性ジストニア.

●治療方針

A.二次性ジストニア

 頻度が比較的高い.

1.薬物療法

 推奨度は低い.

a.抗コリン薬 最も有効性が高い.

Px処方例

トリヘキシフェニジル 7歳で1日0.5mgより開始.幼児はさらに少量から開始する

b.筋弛緩剤

Px処方例

バクロフェン 小児では1日5mg 2回に分けて,幼児では1日2.5mg 2回に分けて

c.ベンゾジアゼピン系 比較的有効性は高い.

Px処方例

クロナゼパム 1日0.025~0.15mg/kg

眠気,気道分泌物には注意が必要.

d.L-ドパ製剤 試みてもよい.

Px処方例

1日0.5mg/kgからゆっくり増量

2.ボツリヌス治療

 A型のボトックスか,B型のナーブロック.小児尖足,上下肢痙直に適応.異常姿勢,異常運動の原因筋に対して適切な量を投与する.

3.MAB(muscle afferent block)療法

4.リハビリテーション

 関節拘縮や骨変形を防止のための理学療法.ボツリヌス治療との併用で有効性が高い.

5.生活管理

 感覚トリックを積極的に利用して,心身の負担を減らし,心理的に共存できるような配慮をする.過度の疲労や,感染症,精神的な緊張は注意する.

6.外科治療

a.バクロフェン髄注療法 ジストニア症状の痙性成分を減弱させる.専用ポンプシステムを体内に植え込み髄腔内投与を行う.

b.脳深部刺激療法(DBS:deep brain stimulation) 局所麻酔薬と純エタノールを筋肉注射し,筋弛緩を図る治療である.一次性全身性ジストニ

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