診療支援
治療

発作性ジスキネジア
paroxysmal dyskinesias
熊田聡子
(東京都立神経病院神経小児科・部長)

 本疾患群には,発作性運動誘発性ジスキネジア(PKD:paroxysmal kinesigenic dyskinesia),発作性非運動誘発性ジスキネジア(PNKD:paroxysmal nonkinesigenic dyskinesia),発作性労作誘発性ジスキネジア(PED:paroxysmal exertion-induced dyskinesia)があるが,本項では頻度の高いPKDのみを取り上げる.

●病態

・PKDはPRRT2遺伝子変異による常染色体優性遺伝性疾患.PRRT2はシナプス小胞の放出に関与すると推定される.

・小児から青年期に発症.同一遺伝子の変異により生じる良性家族性乳児てんかんの家族歴や既往歴を有する例がある.

・急な随意運動の開始時や驚愕時に,発作性にジストニアや舞踏アテトーゼを生じる.意識は保たれる.持続は1分以内と短いが,発作頻度が高く,1日数回以上生じることが多い.

●治療方針

 通常のてんかんに対するよりも,低用量の抗てんかん薬が著効するので治療は容易だが,診断を見逃さないことが重要である.しばしば心因性と誤診されている.足がこわばる,ふらつく,転びやすいなどの主訴に注意する.

 ほかの発作性ジスキネジアとの鑑別は,発作の誘因(PNKDはアルコール・カフェイン,PEDは長時間の運動),持続時間(PNKDとPEDは数分~数時間),頻度(PNKDとPEDでは1日複数回はまれ)による.

 遺伝性PKDのほかに,基底核病変(梗塞・腫瘍・多発性硬化症など)や内分泌疾患(糖尿病・甲状腺機能亢進症・副甲状腺機能低下症など)に伴う症候性PKDがあるので,頭部画像検査や採血検査による鑑別が必要.

 第1選択薬は少量のカルバマゼピンである.

Px処方例

テグレトール錠(100mg) 1回1/2~1錠 1日2~3回

その他,フェニトイン,ラモトリギン,レベチラセタム,トピラ

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