●病態
・もやもや病は両側内頸動脈終末部の慢性進行性狭窄と,それに伴い側副路として発達した脳底部の異常血管網の形成を特徴とする.
・小児例では多くの例で一過性脳虚血発作,脳梗塞を引き起こす.出血例はまれである.
・過呼吸時(hypocapniaを生じる)に虚血症状を呈することが多い.
・両側の症状を呈することが多いが,まず一側の虚血症状で発見され,治療を行ったあとに対側の虚血症状が現れてくる症例もかなりある.
・家族性もやもや病が約10%に認められ,感受性遺伝子としてRNF213遺伝子が同定された.
●治療方針
小児の脳虚血症状を呈するもやもや病に対しては,再発予防を目的として脳血行再建術が有効である(「脳卒中治療ガイドライン2015」より).
もやもや病では外科的治療が基本となり,内科的治療は付随する病態に対して対症的に行われる.
A.外科的治療
脳虚血発作を呈するもやもや病に対して血行再建術を行うことにより,一過性脳虚血発作,脳梗塞のリスクを軽減し,術後のADLや長期的高次脳機能予後を改善できる.血行再建術には,直接血行再建術と間接血行再建術がある.いずれかを単独で行う場合と,両方を行う場合がある.多くの場合両方を行う.
1.直接血行再建術
浅側頭動脈(STA)と中大脳動脈(MCA)を直接吻合する(STA-MCA吻合術).治療効果は吻合後,直ちに認められる.
2.間接血行再建術
脳表に血流の豊富な組織(側頭筋,硬膜,浅側頭動脈など)を置いてくる方法である.置いてくる組織によって,いろいろな名称が使われている〔encephalo-myo-synangiosis(EMS)など〕.治療効果は吻合ができてから発揮されるので,数週間程度は必要である.
B.内科的治療
脳虚血発作の予防の目的で,抗血小板薬の服用が勧められる.
Px処方例
バファリン薬配合錠(81mg) 朝1回食後
■専門医へのコンサルト
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