●病態
・小児の脳出血は虐待や外傷によるもの以外では,高血圧,動静脈奇形,海綿状血管腫,中枢神経感染症,血液凝固能異常などが原因となる.
・症状は頭痛,意識変容,麻痺やけいれん,嘔吐であり,数分から数時間で症状が完成する.
●治療方針
A.最初の方針
脳出血の多くは頭部CTで描出され,頭部CTにて出血とそれ以外を鑑別する.鑑別疾患として,脳梗塞,静脈洞血栓,先天代謝異常,中枢神経感染症,片頭痛などがある.
出血があれば,血管異常や凝固能異常など介入可能な病態の有無を調べる.全身状態が安定していれば海綿状血管腫や動静脈奇形,動脈瘤が診断可能な頭部MRI,MRAを,不安定ならCTアンギオグラフィを行う.血液検査では電解質,血算,止血凝固系〔PT,PT-INR,APTT,フィブリノゲン〕を調べる.乳幼児の頭蓋内出血では,一度は虐待を念頭において評価する.
B.全身管理
こまめに神経学的評価を行う.頭部を30度挙上し血圧・血糖値を安定させ,平温療法とする.頭痛・意識障害の増悪,嘔吐,外転神経麻痺,瞳孔不同・対光反射異常などは,頭蓋内圧亢進や脳ヘルニアの徴候のため頭部画像を再検し,積極的に挿管してPaCO2 25~30mmHgを目標とした過換気療法と,マンニトールによる浸透圧療法を行う.利尿もかかるため脱水や低血圧に注意する.
Px処方例
マンニットール薬注 1日1.25~5mL/kg 1日4回 目標血漿浸透圧≦320mmol/L
C.けいれん
意識障害が続く場合には,非けいれん性てんかん重積の可能性もあり脳波を施行する.けいれんが出現した場合には抗てんかん薬を静注する.
Px処方例
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