●病態
・特徴的な病理所見により病型分類され,主な病型はネマリンミオパチー,セントラルコア病,マルチミニコア病,中心核ミオパチー,ミオチュブラーミオパチー,先天性筋線維タイプ不均等症があげられる.各病型は臨床的,病理的,遺伝的に多彩であり,各々重複している.
・典型的には新生児・乳児期発症で,筋緊張低下,筋力低下を主症状とする.「細長い顔」を示す顔面筋罹患,高口蓋,眼瞼下垂・外眼筋罹患が特徴的であるが,セントラルコア病では顔面筋罹患はほとんどない.
・発症年齢と重症度により,出生時に重度の呼吸障害で発症する重症乳児型,緩徐な発達をする良性先天型や小児型,成人発症型がある.
・時に体幹四肢の筋力低下に比べ強い呼吸筋障害を認め,感染を契機に呼吸状態が急激に増悪することもある.
●治療方針
各疾患に対する遺伝子治療が開発され期待が高まっているが,疾患の合併症を把握し,適切なケアを行っていくことが現時点では最も重要である.対症療法が中心となり,特に理学療法や整形外科的介入,呼吸筋力低下による呼吸不全の管理が必要である.
A.呼吸管理
呼吸不全の進行に対して,適切な時期に非侵襲的陽圧換気療法(NPPV:noninvasive positive pressure ventilation),機械的咳介助などの介入が必要となる.
四肢よりも体幹筋力低下が強いため,歩行可能な状態であっても感染を契機に呼吸状態が急激に増悪し,気管切開を要することもある.誤嚥性肺炎を繰り返す場合には胃瘻造設,唾液誤嚥する例では喉頭気管分離も適応である.
B.理学療法,整形外科的介入
関節拘縮予防や脊柱の側弯予防のため,早期から理学療法や整形外科の介入が必要である.股関節脱臼の合併も多い.
C.その他
一般的に心合併症はまれではあるが,ACTA1遺伝子変異によるネマリンミオパチーでは,小児期の心筋症進行による死亡が近年報告されて