診療支援
治療

周期性四肢麻痺
periodic paralysis
底田辰之
(滋賀医科大学小児科学)

●病態

・発作性に骨格筋の弛緩性麻痺を繰り返す疾患群であり,骨格筋細胞膜の興奮性低下が起こることによって麻痺症状が生じる.

・麻痺症状時の血清カリウム(K)の値により,高K性,低K性,正K性の3つに大別され,原因によりチャネル病として発症する一次性と,甲状腺機能異常や腎機能異常,薬物投与などにより発症する二次性に分類される.

・一次性ではストレス,感染,運動,食事などが誘因となりうる.

●治療方針

 発作予防としてアセタゾラミドの有効性が示されている.発作誘因がわかっている場合には回避する.麻痺症状出現時に血清K値の異常を伴う場合には,Kの補正が最も重要である.二次性ではK補正とともに,原疾患の治療や原因の除去が有効である.血清K値の急速補正により致死性不整脈が惹起されることもあり,治療中は心電図モニタリングが必須である.

 発作の予防として,下記が有効な場合がある.

Px処方例

➊ダイアモックス末 1回2.5mg/kg(成分量として) 1日3回(成人量1日250~500mg) 毎食後

 麻痺症状出現時には,血清K値を適正値(3.5~4.5mEq/L)になるまで,随時確認しながら行う.

 (高K性の場合)下記➋,➌のいずれかを用いる.血清K値が5.0mEq/L以上の場合は下記を併用する.

➋ブドウ糖 0.2g/kg(最大2.0g/kg) 経口投与

➌メプチン吸入液(0.3mL) 30分おきに繰り返し吸入

 (低K性の場合)血清K値が3.0~3.5mEq/Lの場合は下記➍を用いる.K値が3.0mEq/L未満の場合は➎を用いる.

➍グルコンサンK細粒 1回0.2~0.4mEq/kg(成分量として)(200~250mEq/日を超えない) 30分おきに繰り返し投与

➎塩化カリウム(KCL)注 20mEq/20mL+マンニットT注 150mL+精製水 330mL(=計500mL,Kとして40mEq/L)

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