診療支援
治療

学校・専門機関などとの連携
liaison with schools and expert institutions
岡 牧郎
(岡山大学病院小児神経科・講師)

A.連携の重要性

 発達障害の治療や支援を考えるうえで,まずは環境調整と心理社会的治療が優先される.発達障害患者を中心にした支援の輪を形成するにあたり,関係者や関係機関は連携を密にして情報を共有し,患児への理解を深めることが重要である.本項での学校とは幼稚園や小・中学校,高等学校,特別支援学校などに加えて,保育所や認定こども園を含める.専門機関とは医療機関,療育施設や児童発達支援・放課後等デイサービスに加えて,保健所・保健センター,児童相談所などが含まれる.

B.学校との連携

 診療の現場では,通常は患児・家族からの問診が中心になる.しかし患児・家族からの聴取のみでは家庭外の様子が不明確であり,偏った情報になりがちであるため,学校での様子を教職員から聴取する必要がある.自由記載してもらうのもよいが,質問紙を使用することがより有効である.使用される質問紙の主なものには,ADHD-RS-Ⅳ日本語版(ADHD-RS),Conners 3日本語版教師用,子どもの行動チェックリスト教師用〔Teacher's Report Form(TRF),Strengths and Difficulties Questionnaire(SDQ)〕,LD判断のための調査票(LDI-R)などがあり,いずれも診療に役立つ.

 当施設では,初診時に家族用と教職員用の調査票を渡し,それぞれを専門外来受診時までに返送してもらうよう依頼している.教職員用の調査票には前述した質問紙が一部含まれる.診察後には家族の同意を得て可能な限り診察結果を学校に伝えるようにしており,その後の連携を継続している.薬物治療を開始した場合にも,効果や副作用を学校から聴取することは重要である.また学校において支援の必要な子どもに対して診断書などを作成することも,医師の重要な役割の1つである.

C.専門機関との連携

 近年,療育施設や児童発達支援・

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