治療のポイント
・疾患の認識,治療への動機づけが得られにくいことから,適切な情報提供に基づく患児・家族への心理教育が重要である.
・ジェンダーバイアスなどの社会的価値観,メディアの影響,同世代集団の同調圧力,性的虐待などによる心的外傷,患児の発達障害特性や性格傾向,食欲調節に関連する生物学的な脆弱性など多因子の相互作用で発症するため,特定の「親が原因説」などはとらない開かれた肯定的な態度で対応する.
・治療初期ではやせによる認知機能の変化も考慮し,医学的問題として患児の状態を見えやすく外在化し治療環境を構造化したうえで,患児と家族が共同治療者となるよう働きかける.
・予防および回復期では医療機関,学校,家庭のつながり,支援者の多職種協働が重要である.
●病態
・摂食障害は,神経性やせ症,神経性過食症,過食性障害およびその他の摂食障害の総称である.小児では異食症,反芻症,回避制限性食物摂取症などもみられ