●病態
・概日リズム睡眠・覚醒障害群にはいくつかのタイプがあるが,専門機関においても最も多いのが睡眠・覚醒相後退障害(DSWPD:delayed sleep-wake phase disorder)である.
・不規則睡眠・覚醒リズム障害,非24時間睡眠・覚醒リズム障害も一定頻度認められるが,小児では睡眠・覚醒相前進障害は少ない.
・いずれにしても,これら概日リズム睡眠・覚醒障害群では,新生児・乳児期より,なかなか寝ない,降ろすと泣くなど反応性過剰型(over reactivity),あるいは放っておくとずっと寝ているという反応性低下型(under reactivity),さらに中途覚醒が多く,睡眠リズムが築きにくいなど胎児期からの睡眠リズムの脆弱性を認める症例が多い.
・これら遺伝的背景に加え,思春期にクロノタイプが夜型に約2時間シフトすること,さらにブルーライトのメラトニン分泌抑制も含めオンラインゲームやSNSなど情報通信技術(ICT)の影響,受験や塾,長い通学時間,部活動,特に朝練習など社会的要因を含めた不適切な睡眠衛生から慢性の睡眠不足状態・睡眠負債の蓄積(睡眠不足症候群),さらに社会的時差ボケ(social jet lag)によりDSWPDを中心とする概日リズム睡眠・覚醒障害に容易に移行するものと考えられる.
●治療方針
記録された睡眠ログ(睡眠表)をもとに,まず患児ならびに家族に睡眠衛生教育/指導を行う.すなわち睡眠の重要性や現在の状況が患児自身に及ぼす不利益などについて科学的に説明したあと,患児とともに実現可能なレベルから就床時刻を決定し,その2時間前までに食事,入浴,オンラインゲームやSNSを含むICTの使用を終了すること,起床後はカーテンを開けるなど明るいところで過ごすようにし,規則正しいバランスよい食事をとること,可能であれば散歩など軽い有酸素運動を行うこと,などを
関連リンク
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