治療のポイント
・ADHDが生来性の脳機能障害であり,成人期まで続くことを念頭におき治療する.
・ADHD特性から,本人が生活上で困るような状況がある場合にのみ治療を要する.
・ADHDの特性を活かすことを目標とし,治療の終了自体を目指さないことが重要である.
・まずは心理社会学的治療を行い,効果が不十分であれば薬物治療を検討する.
・心理学的治療では,本人,養育者,学校への支援を包括的に行う.
●病態
・注意欠如・多動症(ADHD)は多動性,衝動性,不注意を中核症状とする生来性の脳機能障害を基盤とした神経発達症に分類される.
・有病率5~7%とされ,約1/3~1/2の症例において症状が思春期から成人まで遷延する.長期間にわたり支援がない場合は,二次障害として睡眠障害,ひきこもり,不登校を生ずるケースや,反抗性挑戦性障害,行為障害,不安障害,抑うつなどのほかの精神疾患を合併する例が多くみられる.