●病態
・DSM-5では,DSM-Ⅳでの身体表現性障害の要件であった「身体医学的に説明できない身体症状」の判断には信頼性が乏しいという理由により,新たに「身体症状症および関連症群(somatic symptom and related disorders)」という用語が採用された.そして,この下位に「身体症状症」「病気不安症」「変換症」「他の医学的疾患に影響する心理的要因」「作為症/虚偽性障害(factitious disorder)」「他の特定される身体症状症および関連症」「特定不能の身体症状症および関連症」が位置づけられた.
・明確な身体所見や客観的な検査上の異常や診察上の異常所見がないにもかかわらず,身体関連の執拗な訴えがある疾患群を総称している症候群である.
・作為症(詐病)と身体症状症との違いは,作為症は意図的に作り出されたりねつ造されたりしたものであるという点にある.精神病理は「とらわれ」「固着」であり,身体症状症は「身体症状の訴え」という形で表出される.
●治療方針
ほかの精神疾患・器質的身体疾患がないかどうかの検索が重要であり,そのうえで「身体症状」に対する「とらわれ」や「固着」を確認して,診断基準に基づいて診断を行う.患児自身は根底にある精神的葛藤に気づいていないために「自分自身は身体の病気だ」「症状のために何かができない」と信じており,家族も同様に症状が持続しているのに異常がないという医療機関への不信感から,複数の医療機関を受診し診察や検査を実施される場合もある.
A.症状が軽微で日常生活への影響が少ない場合
身体的診察および検査を適切に行いながら,本人の辛さや不安に寄り添い,経過をみながら症状の背景にある心の葛藤に気づかせ,家族や学校の環境調整を行う.
Px処方例
(目の下にくまがあり,考えにとらわれて不安が強い例)
➊ツムラ加味帰脾湯薬エキス顆粒 1回2.5g 1
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