診療支援
治療

予防接種(任意接種)
immunization(voluntary vaccination)
森野紗衣子
(国立感染症研究所感染症疫学センター第三室・主任研究官)

 予防接種法に基づく定期接種以外の予防接種はすべて任意接種と位置づけられる.

 日本小児科学会から任意接種,キャッチアップスケジュールに関する推奨も出されている.

A.接種時期別の定期接種対象ワクチン以外のワクチン

 渡航時に推奨されるワクチンは別項(「海外渡航者に帯同する小児の予防接種」)参照.

1.乳児期

a.経口弱毒生ロタウイルスワクチン(生ワクチン)※2020年10月より定期接種化

 ロタウイルス胃腸炎は特に初感染の乳幼児で重症となり,脱水や時にけいれん,肝機能異常,腎不全,脳症などを合併する.ワクチンの効果として,ロタウイルス胃腸炎の重症例,入院例の減少,コミュニティでの流行抑制が報告されている.一方,接種後(特に初回接種後7日以内)の腸重積症のリスク増加が示唆されている.腸重積症の好発年齢を避けるため,原則初回接種を生後14週6日までに実施し,接種後21日間の健康観察および接種後に腸重積症を示唆する症状がみられた場合,すみやかに受診するよう,保護者への事前説明が重要である.

 接種不適当者には一般的な項目に加え下記がある.①腸重積症の既往のある者,②腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室など)を有する者,③重症複合型免疫不全(SCID)を有する者.

 接種方法は,下記のいずれかを用いる(初回接種は生後14週6日までに接種).

 a)ロタリックス内用液(1価)1回1.5mL 経口接種 生後6週以降24週までに4週間間隔で2回

 b)ロタテック内用液(5価)1回2mL 経口接種 生後6週以降32週までに4週間間隔で3回

2.幼児期以降

a.乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン(生ワクチン)

 1歳以上が接種対象である.おたふくかぜはさまざまな合併症があり,髄膜炎(1~10%),不可逆性の感音性難聴(0.01~0.5%)の頻度が高い.

 1回接種後の抗体陽転率は92

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