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性教育
sex(sexuality)education
川村和久
(かわむらこどもクリニック・院長(宮城))

 性教育に関しては度々マスコミに取り上げられ,文科省,教育委員会,学校,保護者によって見解や考え方が異なり混沌とした状況にある.文科省では学習指導要領にないという理由で性教育との表現を認めず性に関する指導としている.また性教育に限らず,学校における健康教育が重要視され,小児科医への期待も高まっている.10年間継続してきた小学4年生への「命の大切さ」を伝える性教育の概要とともに,評価と展開も含めて言及する.

A.経緯と内容

 2007年,小学4年生体育科授業「育ちゆく体とわたし」を,担任教師とのteam teachingで始めた.その活動は次年度からPTA親子行事『親子で学ぼう「命のつながり」』に移行した.2012年,校長から『保護者と一緒に学習することによって家庭内でも「いのち」「性」に向き合う素地を作り上げたいと考えたため,授業として扱う』と提案を受け,再び授業となった.

 a)第1部「赤ちゃんはどこから来るの」(児童・保護者)は,スライドを多用し目的は性教育というより,むしろ命の大切さを伝えて,自分や他人を大切にすることを伝えることに主眼をおいている.内容の詳細は省くが,570gの超低出生体重児が多くの人々に支えられ父親になるまでを紹介し,命のつながり,赤ちゃんのもつ素晴らしい力,命をつなぐための体と心の変化を解説する.そして「命を大切にすることは命のことを考えること」であり,「自分らしさを大切に」とまとめている.実際の授業はQRコードから視聴可能である(図1).

 b)第2部「悲しい出来事」は,保護者を対象に行っている講話で,19歳の母親がひとりでアパートで分娩し,次第に冷たく動かなくなって死亡した児を抱っこして来院したケースの経緯から,分娩の危険性の認識,本人・友人の対応,命の重さへの理解,家族・社会の責任をキーワードに,原因と問題点についてのディスカッションを通して「命

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