診療支援
治療

結核の予防と対策
prevention and control of tuberculosis
加藤誠也
(結核予防会結核研究所・所長)

A.小児結核の現状

 小児結核は少なくなっており2018年は51人であった.学童期を含む5~14歳は27人で,外国出生者は9人(33.3%)を占めていた.小中学校における結核集団感染は2007~2016年の10年間に5件発生した.これらの感染源は児童生徒よりも職員などである場合が多いことから,職員を含めた健康管理が必要である.

B.結核感染予防

1.児童・生徒の結核検診

 入学時または転入時に問診表によって以下の6項目を確認する.①本人の罹患歴,②本人の潜在性結核感染症治療歴(予防内服),③家族の結核罹患歴,④高蔓延国での居住歴,⑤自覚症状(2週間以上続く咳・痰),⑥BCG接種歴.このなかで④の過去3年以内に結核高蔓延国(罹患率が高い112の国・地域)で6か月以上の滞在歴がある場合には,精密検査(胸部X線検査など)の対象となる.

 ①~③は結核発病のリスク要因であり,結核を疑う症状などがあった場合に早期受診を勧めるなどの配慮が必要であるが,精密検査の対象にならない.2週間以上続く咳・痰があって,医療機関での診断がなされていない場合には,なるべく早く医療機関に受診することを勧める.BCG未接種は,感染性の患者が発生した際にハイリスク接触者として特別な対応が必要な場合がある.

2.教職員の健康診断

 教職員は感染法上,結核を発病した場合に多くの人に感染させる可能性がある職業として,年1回の健康診断の受診が義務づけられている.

C.患者発生時の対応

1.感染拡大防止

 保健所は結核の届出に基づいて,疫学調査や接触者健診が実施する権限を有しており,学校は保健所に協力する必要がある.また接触者の経過観察中に疑わしい症状がある場合には,早期受診を指導する.

2.児童生徒・保護者などへの説明

 不安の解消と患者への偏見やいじめがないように,保健所との協力のもとに正しい知識と情報の提供を行う.

3.患者支援

 結核の

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