治療のポイント
・筋性斜頸の場合は新生児期,乳児期には家族に育児指導を行い,経過観察する.1歳を過ぎても斜頸位や可動域制限が残存する場合は,手術を考慮する.
・炎症性斜頸の場合は原因疾患の治療と局所安静を要する.すみやかに斜頸位が改善しない場合は専門医へ紹介する.
斜頸を呈する疾患には先天性と後天性のものがある.前者には筋性,骨性,眼性が,後者には外傷性,炎症性,痙性,腫瘍性など多彩な原因があげられる.小児整形外科外来を受診する頻度別では筋性斜頸が最多で,骨性,眼性と続く.原因検索のうえ,それぞれに応じた治療を行う.
Ⅰ.筋性斜頸
●病態
・片側の胸鎖乳突筋の線維化による拘縮が原因である.成因には諸説あるが解明されていない.生後2,3週をピークに患側胸鎖乳突筋に一致した頸部に腫瘤を認め,徐々に消退する.頸部は健側への側屈制限,患側への回旋制限を呈し,頭部変形が生じる.
・年長児では患側の胸鎖乳突筋の強