診療支援
治療

二分脊椎
spina bifida
柳田晴久
(福岡市立こども病院整形・脊椎外科・科長)

●病態

・脊椎の後方要素(椎弓・棘突起)が癒合せず,分離していることから名づけられた病名である.顕在性二分脊椎(脊髄髄膜瘤など)と潜在性二分脊椎(脊髄脂肪腫など)に分類される.

・麻痺のレベルにより関節拘縮・股関節脱臼・足部変形・脊柱変形などを生じ,整形外科的治療を要することが多い.

●治療方針

 初診時には病歴を十分にとり,脳外科での手術歴,水頭症や脳室腹腔シャントの有無,膀胱直腸障害の有無,精神運動発達など全身状態を把握する.麻痺レベルや水頭症の有無などから,患児の運動レベルのゴールを設定し,装具・リハビリテーション・手術などを組み合わせた長期的な治療方針を立て治療していく.

A.股関節脱臼

 股関節脱臼に対する治療方針は,下肢の運動麻痺レベルにより決定する.麻痺が胸髄レベルと高く下肢全体が麻痺している場合は,脱臼の治療はせずに股関節の拘縮を起こさないようリハビリテーションを中心とする.大腿四頭筋の筋力がMMTで4以上ある例では,観血整復(関節包縫縮)・大腿骨減捻内反骨切り術・臼蓋形成術・外腹斜筋移行術などを組み合わせて行う.

B.足部変形

 装具やリハビリテーションによる治療を行うが,変形が顕著となれば幼少時には腱延長・切離や関節包切離などの軟部組織を扱う手術を行い,できるだけ足の成長を妨げないようにする.内反尖足に対しては後内側解離術・足底解離術など,踵足変形に対しては前脛骨筋の後方移行術などの軟部組織手術を行う.学童期以降では,変形に応じてEvans(エバンス)手術や三関節固定術などの骨性手術を行う.

C.脊柱変形

 高度に進行した側弯や高位麻痺例における腰椎後弯には手術を行う.インストゥルメンテーションによる矯正・固定が不可欠であるが,二分脊椎の腰仙椎部は皮膚が薄く知覚も脱失していることが多いので,インプラントの軽度の突出でも褥瘡の原因になりやすく,深部感染に至る可能性があり注意が

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?