診療支援
治療

膝痛(Osgood-Schlatter病などを含む)
knee pain
武冨修治
(東京大学大学院整形外科学・講師)

●病態

・小児期から成長期に頻度の高い膝関節痛の原因としてはOsgood-Schlatter(オスグッド・シュラッター)病,Sinding-Larsen-Johansson(シンディング・ラーセン・ヨハンソン)病,有痛性分裂膝蓋骨,離断性骨軟骨炎,腸脛靭帯炎,鵞足炎,滑膜ヒダ障害,外側円板状半月板損傷などがあげられる.

・発育期には骨の成長に伴い,大腿四頭筋やハムストリングスの相対的なタイトネスが生じやすく,また骨端部や軟骨は成人に比べ力学的に脆弱である.これらの要因に先天的な解剖学的特徴やアライメント,スポーツによる繰り返しのストレスなどの因子が加わり,膝痛を引き起こす.

・Osgood-Schlatter病:成長期に大腿四頭筋の牽引力が力学的に脆弱な脛骨粗面の骨端部に繰り返し働くことで生じる,10~14歳の男子に好発する骨端症.

・Sinding-Larsen-Johansson病:10歳前後に好発する膝蓋骨の下極の骨端症.

・有痛性分裂膝蓋骨:骨化核の癒合不全による膝蓋骨分離部の痛み.

・離断性骨軟骨炎:軟骨・軟骨下骨が剥離する病態.

・腸脛靭帯炎:腸脛靭帯と大腿骨外側上顆との摩擦による炎症.

・鵞足炎:縫工筋,薄筋,半腱様筋の腱付着部炎または滑液包炎.

・滑膜ヒダ障害(タナ障害):膝関節の隔壁の遺残(滑膜ヒダ)による痛み.

・外側円板状半月板損傷:正常と異なる線維配列の円板状半月の損傷.

●治療方針

A.診断

 受傷機転や症状,身体の成長(1年間に伸びた身長など)の問診,理学所見および画像検査で診断を行う.理学所見として関節可動域・関節腫脹・圧痛に加え,筋のタイトネスや足部や股関節を含めた下肢全体のアライメントを確認する必要がある.

 単純X線検査では,通常の正面,側面に加え,膝蓋骨の軸写像を撮影する.半月・軟骨・靭帯・軟部組織の炎症などの評価には単純MRI検査も有用であるが,腸脛靭帯炎,鵞足

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