診療支援
治療

先天性内反足
congenital clubfoot
町田治郎
(神奈川県立こども医療センター・総長)

●病態

・前足部内転,後足部内反,足全体の尖足を呈する.発生頻度は約1,000人に1人で,男女比は2:1で男子に多い.片側例と両側例はほぼ同数で左右も同数である.

・親,兄,姉が先天性内反足の場合には,発生頻度は10~20倍になるといわれているが関連する遺伝子は発見されていない.

・特発性と症候性に分類される.症候性は多発性関節拘縮症,筋緊張性ジストロフィー症,二分脊椎などに伴うもので,より重症である.

●治療方針

A.診断

 視診だけではなく実際に触って,外反矯正や背屈してみることが重要である.重症例では外反矯正や背屈しようとしても20度以上変形が残存する.軽症例では中間位まで矯正できる場合もある.しかし正常な足では成人以上に背屈できるので,中間位まで矯正可能な場合でも放置せずに専門医に紹介すべきである.徒手矯正操作にて尖足がなく,前足部の内転のみがみられる場合は内転足である.子宮内での肢位によることが原因で自然に治る場合も多いが,念のため専門医に診てもらったほうがよい.

B.治療

 治療はまずギプスによる矯正であるが,当センターでは全身状態が安定する生後2週頃より行っている.ギプスを5~10回行ったあとに背屈が不十分な場合には,アキレス腱切腱術を行う.その後は3~5歳までデニス・ブラウン装具や夜間短下肢装具による治療を行う.10歳くらいまで外出時に足底挿板を使用することもある.歩行開始後に足部内反により,足背や外側で接地してしまう症例では手術を行う.

1.Ponseti法

 先天性内反足は2000年頃までは距骨下全周解離術という手術が主流であったが,固い足になってしまうという反省により,2005年頃から広範な軟部組織解離術を行わないPonseti法が全世界でGolden Standardとなった.Ponseti法は尖足のままギプスによる凹足矯正を行い,尖足はアキレス腱の皮下切腱により対処す

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