●病態

・肘周辺骨折後の変形癒合や偽関節（骨癒合不全）で生じることが多い．

・内反肘は上腕骨顆上骨折で遠位骨片が伸展内旋に転位して，そのまま変形癒合することで生じる．

・外反肘は上腕骨外側顆骨折や上腕骨内側上顆骨折後，内固定の不良から偽関節になることや，Monteggia（モンテジア）骨折（尺骨骨折＋橈骨頭脱臼）後に尺骨が変形癒合して，橈骨頭脱臼が残存することと，橈骨頭骨折後に橈骨頭が変形癒合することで生じる．

・まれに先天的なものもある．

●治療方針

　内反肘と外反肘を正確に診断するには，肘外偏（反）角（carrying angle）を測定する必要がある．

　しかし小児では肘外偏角が成長により変化し，また個体差があるために明確な角度の定義はないため，診断が難しい．当科では健側と比較し，健側より内反していれば内反肘，外反していれば外反肘と診断している．

　内反肘では整容的な問題のほかに，再骨折，肘外側（橈側）側副靭帯の緩みによる後外側回旋不安定症，遅発性尺骨神経麻痺などの障害が生じる可能性がある．

　外反肘では整容的な問題のほかに，偽関節後の動揺性から，肘の鈍痛や不安定感の原因になる可能性がある．また遅発性尺骨神経麻痺などの障害が生じる可能性がある．

　内反肘と外反肘の原因が変形癒合である場合には，受傷による成長障害がないか1年経過を診てから手術を行う．外反肘の原因が偽関節である場合には，外反が進行する前になるべく早めに手術を行う．

　内反肘の原因が変形癒合である場合には，上腕骨遠位の内反，内旋を矯正する骨切り術を行う．

　外反肘の原因が変形癒合である場合には，骨切り術を行い，偽関節である場合には，偽関節手術（偽関節部の新鮮化＋骨移植術＋内固定術）を行う．遅発性尺骨神経麻痺の症状があるときには，尺骨神経前方移行術を同時に行う．

・肘周辺骨折後に内反肘や