Ⅰ.ばね指
●病態
・小児では屈筋腱が腫大(Notta結節)し,腱鞘に引っかかるため弾発を生じる.指が屈曲した状態で受診することが多い.
・母指に多く,伸展制限がみられると強剛母指(pollex rigidus)とよばれる.まれにほかの指や多数指罹患もある.
・生下時からみられることはほとんどなく,初発年齢は平均2歳で,男女差や左右差はない.両側にも生じる.
●治療方針
ストレッチや副子固定が有効で,保存療法により治癒が期待できる.屈曲した指を他動的に伸展し,指を伸ばした状態を副子で保持する.他動的に完全伸展位がとれる場合や,副子固定が難しい場合には経過観察でもよい.年齢とともに伸展制限が改善することが多い.
全身麻酔が必要な年齢での手術は,適応を慎重に考える必要がある.指の偏位,中手指節関節過伸展および疼痛がみられる場合には手術を検討する.また,ほかの手術で全身麻酔をかける場合があれば,併せて手術