●病態
・間葉系の腫瘍細胞が骨性基質(未熟な骨や類骨)を形成する悪性腫瘍を骨肉腫という.
・骨肉腫は好発年齢が小児10~20歳代と50~60歳代に二相性のピークがあり,組織亜型も多く多彩な疾患群の総称と考えられるが,ここでは頻度の高い小児発生のconventional osteosarcoma(通常型骨肉腫)を説明する.
・小児骨肉腫の好発部位は膝関節(大腿骨遠位,脛骨近位),上腕骨近位,大腿骨近位で主に骨幹端に発生する.初発症状は関節腫脹,運動痛が多く,進行期には病的骨折に注意を要する.
●治療方針
A.診断
疾患を診断するための画像は単純X線撮影が最も有用で,①造骨性変化を伴う境界不明瞭な骨内の溶骨性所見,②非連続性の骨膜反応を呈する骨外への進展所見,すなわち骨形成性の悪性所見を認めれば容易に診断可能である.病期診断ではCTによる肺転移の検索が必須である.
手術計画と補助療法効果判定の画像はMRIが必須で,骨外軟部および骨髄内の浸潤範囲を診断する.その他に,PET-CTは肺外転移(肺以外の骨,軟部)の検索に加え,SUV値を治療前後で比較することにより治療効果の機能的診断に有用である.
B.治療
骨肉腫の標準治療は,①術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy),②原発巣の広範切除と再建,③術後補助化学療法(adjuvant chemotherapy)である.化学療法に用いる薬剤は一次治療としてはドキソルビシン,シスプラチン,メトトレキサートの3剤(MAP療法として標準治療に位置づけられている)に加えて,イホスファミドが用いられることがある.
1.術前化学療法
a.目的 ①潜在的微小転移の早期治療による生存率向上,②原発巣の治療効果判定により薬剤感受性テストとして術後補助化学療法の薬剤選択の参考とすること,③原発巣治療効果による機能的で安全な縮小手術を可能にする目的,