A.ステロイド外用薬
ステロイド外用薬は,主として湿疹・皮膚炎群に用いられる重要な外用薬である.副腎皮質ステロイドの皮膚への作用は,おおむね血管収縮,透過性抑制,炎症性ケミカルメディエーター遊離抑制,アラキドン酸低下,免疫抑制,細胞分裂抑制である.
ステロイド外用薬はその強さにより5ランクが存在する(表1図).その選択は,病変の程度や部位によりレベルを使い分けるべきである.おおむねストロンゲストは顔面,陰部以外の高度な皮疹.ベリーストロングは顔面,陰部以外の中等度の皮疹.ストロングは顔面,陰部以外のかゆみを伴う皮疹.ミディアムは顔面,陰部の高度な皮疹や,顔面,陰部以外の軽度のかゆみを伴う皮疹.ウィークは顔面,陰部の軽度の皮疹,顔面,陰部以外の軽度のかゆみを伴う皮疹に使用する.
抗菌薬とステロイド外用薬の合剤は,耐性菌の問題などもあり可能な限り診断を確定したうえで,ステロイド外用薬および抗菌薬含有軟膏を単剤で使用すべきである.
ステロイド外用薬の副作用は熟知しておく必要がある.局所副作用として,皮膚萎縮や酒さ様皮膚炎,感染症など,全身性副作用として下垂体・副腎皮質機能抑制などに十分注意する.また,ステロイド外用薬を長期に使用した場合,外用中止時のリバウンドが問題となる.この現象を回避するためにも,ステロイド外用薬塗布回数を症状の改善に応じて徐々に減ずるか,強さのレベルを下げて,患児の皮膚が良好に推移するよう配慮すべきである.
実際使用する際には原則1日2回,患部に塗擦ではなく塗布する.具体的にはやさしく塗り広げるように指導する.
B.タクロリムス外用薬
タクロリムス水和物含有軟膏は,アトピー性皮膚炎に適応を有する外用薬である.アトピー性皮膚炎患児の特に顔面や頸部の皮疹に有効であり,ストロングクラスのステロイド外用薬と同等の効果を発揮する.成人用と濃度が低い小児用がある.