治療のポイント
・虫刺症には,ステロイド外用薬が有効である.
・ハチ刺され,ムカデ咬傷のとき,アナフィラキシーショックに注意をする.
・小児の場合,虫刺症後に伝染性膿痂疹を続発することがある.
・マダニ刺症の場合,虫体を摘除し,マダニ媒介感染症やアレルギーに注意する.
●病態
・刺症部位には,紅斑,丘疹が生じる.かゆみで,繰り返し掻破していると痒疹状の結節を生じる.小児に生じる虫刺され後の痒疹を小児ストロフルスとよぶ.
・小児の場合,虫刺症部位に著明な腫脹を生じることがある.顔を刺されると浮腫のため開眼できなくなったり,顔貌が変わったりすることがある.
・毛虫皮膚炎では,ばらまいたような孤立性丘疹が生じる.
・ノミ刺症の場合,主に下腿に丘疹,掻破痕がみられる.
●治療方針
治療方針はステロイド外用薬塗布である.かゆみがあれば,抗ヒスタミン薬内服を処方する.
ハチ刺されやムカデ咬傷のときに,呼吸困難や血圧低下,蕁麻疹などのアナフィラキシー症状を生じることがある.特に受傷後30分以内には,アナフィラキシーショックに注意をする.もしアナフィラキシー症状があればアドレナリン筋注を行う.
マダニ刺症のときは,マダニの摘除を行う.摘除には市販のTick Twisterが便利である.もし摘除が困難なら皮膚科に依頼する.
Px処方例 下記のいずれか,もしくは適宜併用する.
➊アルメタ薬軟膏 1日2回 塗布(顔)
➋リンデロン-VG薬軟膏 1日2回 塗布(体,四肢)
➌マイザー薬軟膏 1日2回 塗布(体,四肢,かゆみの強いところ)
➍ドレニゾン薬テープ 1枚 患部に貼付
➎アレロック薬顆粒(0.5%) 2歳以上7歳未満:1回2.5mg(成分量として),7歳以上:1回5mg(成分量として) 1日2回 朝および就寝前
A.注意点
1.ハチ刺され,ムカデ咬傷
まず注意すべきなのが,アナフィラキシーショックである.血圧低下や呼吸器症状
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