治療のポイント
・水疱性膿痂疹は感受性菌ではセフェム系抗菌薬の内服およびフシジンレオ軟膏やアクアチム軟膏外用による治療で十分だが,ゲンタシン軟膏は耐性が多いため使用を控える.
・内服を3日間行っても軽快しなければ耐性菌の可能性が高いので,ホスミシン内服の併用や短期間のミノマイシン内服が必要.
・痂皮性膿痂疹では原因菌の化膿性レンサ球菌には耐性がないため,ペニシリン系やセフェム系抗菌薬の内服で十分である.感染後腎炎の予防のため,軽快後約10日間は治療を続ける.
・膿痂疹性湿疹では上記のほかに,ステロイド外用薬の併用が必要.
●病態
・夏季,幼小児に好発し,黄色ブドウ球菌の産生する表皮剥脱毒素(ET:exfoliative toxin)により表皮細胞デスモグレインが分解されて水疱を生じる水疱性膿痂疹と,小児のみならず大人にも季節を問わず生じ厚い痂皮を伴う,化膿性レンサ球菌による痂皮性膿痂疹に大別できる.
・アトピー性皮膚炎や虫刺されなどで皮膚を掻破することにより膿痂疹性湿疹を生じ,これも広い意味でとびひと考えてよい.
・水疱性膿痂疹では近年,市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(CA-MRSA)が増加し,治癒の遷延する症例が増えている.
●治療方針
石鹸などによる洗浄で皮膚の清潔を保ち,スキンケアや外用療法を行い,感受性のある外用薬や内服薬を処方する.
A.水疱性膿痂疹
病変部の範囲が狭いと抗菌薬の外用のみでも治療が可能だが,病変部が広範囲だと抗菌薬の内服が必要.内服薬は感受性菌ではセフェム系抗菌薬で十分だが,CA-MRSAではホスホマイシン系抗菌薬やテトラサイクリン系抗菌薬が必要.
Px処方例 病変部が狭い場合➊または➋を,広い場合➊または➋に➌を併用する.
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