診療支援
治療

色素性乾皮症
xeroderma pigmentosum
森脇真一
(大阪医科大学皮膚科学・教授)

●病態

・色素性乾皮症(XP:xeroderma pigmentosum)は,小児に好発する常染色体劣性遺伝性の重篤な光線過敏症である.

・DNA修復過程に異常があるため,皮膚細胞内に紫外線(主としてUVB)誘発DNA損傷(ピリミジン2量体など)が多く残留し,紫外線にきわめて敏感となる.

・XPには遺伝的に異なる相補性群(A~G群,バリアント型)があり,わが国では神経症状を伴う最重症型のA群が55%を占める.またXPは各群で表現型,重症度が異なる.

・日光曝露のたびに異常なサンバーン様の紅斑反応が頻発し,その後,雀卵斑様の小色素斑,萎縮,粗造化などの光老化皮膚が徐々に進行する.長年にわたり日光照射を受け続けると若年齢で皮膚がんが多発する.わが国の患者では過半数に進行性の神経症状(難聴,知能低下,歩行障害など)が生じるため,XPの確定診断はその後の患者のケアや予後の判定に重要である.

●治療方針

 XPは遺伝性疾患であるため根治的治療は困難である.ケアは患児の親や担当教員の協力のもと,厳重な遮光,対症療法,合併症対策が中心となる.

A.サンバーン様皮疹が生じた場合

 局所の冷却,対症療法を行う.

Px処方例 下記を患部に応じて用いる.

➊ロコイド軟膏 1日2回 顔面皮疹に対して塗布

➋アンテベート軟膏 1日2回 顔面以外の皮疹に対して塗布

B.皮膚悪性腫瘍が発生した場合

 可能な限り腫瘍切除術施行を行う.多発して切除が困難な場合には適宜,外用療法を実施する.

Px処方例

➊ベセルナクリーム 1日1回(週3回) 塗布(日光角化症のみ保険適用)

➋5-FU軟膏 1日1~2回 塗布

C.遮光指導

 XP患者では生涯,UVB(+UVA)からの曝露,回避を厳重に行う必要がある.そのため物理的遮光に加え化学的遮光(サンスクリーン使用)が適切に行えるよう指導する.重症例では不要な屋外活動を制限し,外出の際はUV防護服の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?